追い口・ツル

追い口切りは、受け口と組み合わせて木を「制御しながら倒す」ための最終工程。
最大の目的は、「ツル」を蝶番(ちょうつがい)として残し、木が倒れる方向をコントロールすることにあります。 ツルが残ることで木はゆっくりと倒れ始めるため、作業者が安全な場所へ退避する時間を確保するという極めて重要な役割も持っています。
手順は特に無いので押さえるポイントのみになります。

  • 高さは受け口の高さの2/3
  • 樹径の1/10のツルが残るように切る
  • 水平になるように

会合線と追い口切りの最後のラインが平行になるようにします。
写真は個人的には上手く行ったと思ってたけども、ラインを引いてみたら地味に失敗してるみたい…(-_-;)

作業の重要ポイント

「ツル(ヒンジ)」の維持とリスク管理

追い口を切る際、受け口まで完全に切り抜いてはいけません(ツル切れ)。ツルは倒れる方向を誘導する命綱であり、これが切れると木は制御不能になり極めて危険です。

適切なツル幅(幹の直径の約10%)を維持できないと、以下のような重大なリスクが発生します。

  • ツル幅が薄すぎる: 思っていたよりも早く木が倒れてしまい、退避時間が確保できなくなります。倒木が当たれば骨折で済めば幸運。下手すりゃ死ぬ。
  • ツル幅が厚すぎる:なかなか倒れず、木が縦に裂けることがあります。その裂けた部分が作業者を直撃する死亡事例も発生しています。
  • ツル幅が不均等(会合線と平行でない)な場合:狙い通りの方向に倒れず、ツルの厚みが残っている側に角度が傾いて倒れてしまいます。

くさび(楔)の活用

切り進める中で、チェーンソーが挟まるのを防ぐため、また意図した方向へ確実に倒すために切ってる途中で予防的に「伐倒用くさび」を追い口に打ち込んだりもします。

伐倒作業の怖さ

と、まぁ文字で書くポイント自体はシンプルに見えるかもしれませんが、伐倒は林業の中で最もリスクの高い作業です。
実際に、林業における死亡事故の発生率は、全産業の平均と比較して約9〜10倍以上という高い水準にあり、日本で最も危険な仕事の一つです。そして、その死亡事故全体の約4〜7割を占める最大の要因が伐倒作業です。
また、教科書・解説サイトでは杉の図が多いようにお見受けしますが、実際の現場では斜面の下側に向かって伸びる広葉樹が多く、追い口を切ってる最中に倒れ始める事も普通におこります。
樹種によっては、ツルをきちんと作っていてもツルが直ぐに折れて倒れる木もあるので注意が必要です。
現場はケータイ圏外なんてことも珍しくないので救出も一苦労です。
事故を未然に防ぐことに注力しましょう。

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