【林業のジレンマ】雨合羽が「すぐに浸水する」原因と、どうしても解決できない理由

【現場の日常・コラム・etc】

林業などの外仕事に必須の雨合羽(カッパ)。しかし、林業現場では「どんなカッパを着てもすぐに浸水する」という特有の悩みがつきまといます。

カッパがすぐに浸水する最大の原因は「チェーンソー」

林業のカッパがすぐにダメになる最大の原因は、チェーンソーから飛び散るチェーンオイル。

チェーンソーは構造上、オイル(チェーンオイル)を撒き散らす工具でもあります。

  • 撥水加工が油分で失われる

一般的なカッパにはフッ素系やシリコン系などの撥水加工が施されています。しかし、チェーンソーの構造上撒き散らされるオイルがカッパに付着すると、その油分によって撥水性が破壊され、水が弾けなくなって浸水してしまいます。

一般的な対策と、現場で直面する「現実の壁」

教科書的に推奨される対策と、実際の現場における使い勝手には大きなギャップがあります。

対策①:オイル付着直後の丁寧なケア

  • 一般的な対策: 付着後すぐに中性洗剤とぬるま湯で優しく洗浄し、放置しない(※強力な有機溶剤は避ける)。
  • 現場の現実: 「雨の度に洗うのは面倒くさすぎる」のが本音。作業後に毎回丁寧に手洗いを続けるのは、現実的な運用とは言えません。そもそも一着しかなかったら、次に使うまでに乾くかどうか怪しい。結局は複数枚ないと着回しできない…

対策②:耐油性の高い素材(PVC・ゴム引きなど)の選定

  • 一般的な対策: 耐油性の高い厚手PVC(塩ビ)やNBR(ニトリルゴム)、PU(ポリウレタン)などの作業用合羽を選ぶ。
  • 現場の現実: 耐油性素材は通気性がほぼゼロ。ハードな作業では内部が蒸れて汗が逃げず、結局「自分の汗でずぶ濡れ」になります。

「耐油性」と「通気性」のトレードオフというジレンマ

林業における雨合羽選びは、まさに二者択一の泥沼。

  • 耐油性をとる ➔ 通気性がなくなり、蒸れて汗でずぶ濡れ
  • 耐水性・透湿性をとる ➔ オイル付着で撥水性が失われ、雨水でずぶ濡れ

結論として、耐油性と通気性はトレードオフの関係にあり、どちらを選んでも「濡れる」という結果から逃れにくい構造になっています。

現場が出したリアルな結論と今後の課題

  • 先輩たちの結論:「安いカッパを使い捨てる」 高価で高性能な透湿防水カッパを買ってもオイルで一発アウトになるリスクがあるため、現場の先輩方からは「安価なカッパを消耗品として割り切り、使い捨てるのが一番」という声が多く上がります。
  • 現場の課題 :「耐油性・通気性・耐久性」を兼ね備えたギアは生まれないのか……。作業者の切実な課題として、今後のギアの進化に期待したいところです。

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